船幽霊の独白

彼は口をあけたまま、ただ無防備に寝息を立てていた。布越しに伝わる髪の感触はひどくやわらかなもので、女のそれを彷彿とさせた。
生者であったころからこうなのか、とふと俺は考えをめぐらせる。
子猫を胸に抱いて寝ている感覚にも似ていると一人笑うと、彼はすこし体を動かして、より寝やすいように、俺に体を預ける。やはり猫だ、と彼の頭に腕をまわしつつ、思った。